アキバの街に衝撃!オタキングはアンテナ選びの達人だった!




ディープなおたくが集まる街秋葉原。
現在はアニメおたくの街として世界的に有名だが昔は家電やオーディオの街だった。
おたくが秋葉原に通っていると自然とオーディオビジュアル機器の店にも立ち寄ることになる。
アニメおたくにオーディオマニアが多い理由も納得だ。
いつものように僕は某有名家電のテレビコーナーで話題の4K大画面テレビのデモ映像を見ていた。
すると「うぅ~む、さっぱりわからん!」という叫び声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。
声の方を見ると行きつけのメイド喫茶の顔見知りのケイタさんだった。
「ケイタ殿、何かお困りでござるか?」
「あっサスケ殿!吾輩、先日ゴミ捨て場で完動品のステレオチューナーを拾ったのでFMアンテナを買いに来たのでござる。でもどれを買えばいいかわからないのでござるよ。声優さんの番組をじゃんじゃんエアチェックしたいのに困ったでござる」
エアチェックというのはFMラジオ番組を高音質で録音する趣味だ。昔はカセットデッキで録音したが今は21世紀なのでMDで録音するのが流行している。
最近はオタクブームなのでNHKFMがおたく向け番組を強化している。みもりん司会の三森すずことアニソンパラダイスやしょこたん司会のアニソン・アカデミーはアニソン業界の最新情報満載だ。

高音質のエアチェックのためには高性能のFMアンテナが絶対必要と言われている。
「サスケ殿、ここにいっぱい並んでるアンテナのうちどれがFM用かわかるでござるか?」
僕は困ってしまった。僕は女性声優とアメリカンカートゥーンに詳しいがアンテナの知識はさっぱりだ。
しかし何も答えないのは不親切だ。「義を見てせざるは勇なきなり」という。僕は適当にアンテナの一つを指して答えた。
「う~ん、この丸くて大きいのが高音質のFM用かもしれないでござるよ」
「なるほど。いかにも音が良さそうでござるな。よしこれにしよう」
そう言ってケイタさんが陳列台の下からそのアンテナの箱を抜き出そうとした瞬間!
「ちょっと待ちなさい!」と店内に大声が響いた!
いきなりの大声に驚いた客と店員が口々に叫ぶ!
「だ、誰だ!」
「何者でござる?」
「姿を見せろ!」
キョロキョロを店内を見回す客達。店員の一人が叫んだ!「あそこだ!」
店員の指が示す方向を見ると・・・な、ななな、なんと!
地毛のスマートな男性が冷蔵庫売り場の業務用680リットル巨大冷蔵庫の上でギターを弾いているではないか!
その顔には見覚えがあった。客の一人が叫んだ!
「あっ!あれはオタクの王様オタキングこと岡田斗司夫だ!その豊富なオタク知識を見込まれてテレビ東京のアキバ王選手権で審査員をつとめた濃い人だ!」
オタキングは「とうっ!」という掛け声をともにジャンプするとクルクルと空中三回転を決めて僕らの前に着地した。
オタキングは言った。
「話は全て聞かせてもらったよ。君はミステイク。そのアンテナはFM用ではない!」とケイタさんが小脇に抱えた箱を指差した。オタキングはため息をつきながらさらに話し続けた。
「これだから素人は困る。君が今買おうとしているのはCS用のアンテナだ。CS用のアンテナはBS用と似ているが前にマイクいたいな出っ張りがあるのが特徴さ。そしてFM用はトンボアンテナというあだ名がある通りトンボみたいな形をしているんだ。つまり君が選ぶべきアンテナは・・・これだ!」
そう言ってビシっと並んだアンテナから一つを指差した!

「おぉ~!」と人々の感嘆の声。
いつの間にか大勢の客が集まっていた。オタキングの見事な解説に皆聞き惚れている。
目に涙を浮かべて感動している女性客もいる。
やがて客の一人がパン!と手を叩いて「オタキング!」と叫んだ。
他の客もパン!パン!と手を叩き「家電芸人オタキング!」と叫んだ!
次々と他の客も続いた。
パン!パン!パン!パン!
「オタキング!オタキング!」手拍子に合わせて皆が声を揃えて叫ぶ!
パン!パン!パン!パン!
「オタキング!オタキング!家電芸人オタキング!」
終わることなく、何度も何度も手拍子と掛け声は繰り返される。
電気店の店長と店員さんも掛け声に加わった。もちろん僕とケイタさんも!
手拍子と掛け声に合わせて店内で行進が始まった!
「オタキング!オタキング!家電芸人オタキング!」パン!パン!パン!パン!
そしてその勢いのまま全員外に出た!

アキバの街にこだまする手拍子と「家電芸人オタキング」の掛け声!
アキバの通りを歩いていた通行人も続々と列に加わり手拍子と掛け声はどんどん大きくなっていった。
この日からオタキングには家電番組の出演依頼が殺到したという。
(完)