名作OVAモルダイバーの思い出





1990年代は間違いなくOVAの全盛期だった。80年代はまだOVAがそのものが産声を上げたばかりで試行錯誤だったし2000年代以降はOVAとして制作されたものがCSなどで普通にテレビ放送されるようになったのでTVアニメとOVAの境界線があいまいになっている。

モルダイバーは1993年に制作された。今年で23周年、にーさんだ。全6話。この作品を初めて見た時の衝撃は忘れない。とにかく絵が綺麗だった。毎週放送されているアニメと全然違う。ずっと後になってからこの作品が「OVA」というTVアニメとは別のものだと知った。実はこの作品を僕はテレビ放送で初めて見た。当時住んでいた地方で夏休みなどの夕方に不定期でマイナーなアニメ作品を放送していたのだ。その中の作品の一つとしてこのモルダイバーも放送されたのだ。当時の僕はあまり知識がなかったが地上波でOVAが放映されるのは異例だったらしい。

ただし放送されたのは全6話のうちの最初の2話だけ。同じ放送枠で3話以降の続きを期待したがいつまで待っても放送されない。録画して何度も見なおしたのでモルダイバーに関しては最初の2話ばかりが記憶に残っている。

3話以降の続きが気になってとてもモヤモヤした。このモヤモヤを解消するため四苦八苦することになった。

OVAファンには熱烈に支持された超名作だが世間一般ではマイナーな作品のせいかレンタルビデオの店に置いていないのだ。各巻2話ずつ収録されたLDが発売されていたが僕はLDプレーヤーを持っていない。VHSソフトはバカみたいに値段が高かった。

だが日頃の行いが良かったせいか幸運が訪れた。ふらりと立ち寄ったCDショップでレンタル落ちの中古ビデオソフトの激安セールをやっていてモルダイバーを売っていたのだ!もちろん即購入。帰り道は感激で震えた。セル版のVHSソフトは一巻に一話収録の全6巻だったようだがレンタル版は一巻に2話ずつ収録の全3巻だった。中古のVHSソフトなのでノイズだらけで最悪の画質だった。

やがてDVDの時代になった。僕にとってDVD製品購入第一号がこのモルダイバーだった。全6話が二層ディスクの一枚に収録されてお得な製品だった。

作品内容は勧善懲悪的なもの。主人公の大宇宙(「おおぞら」と読む)寛と大宇宙未来、そして末っ子の大宇宙望夢の3兄妹が悪のリーダーマシンガル教授の悪行を懲らしめるため正義の味方「キャプテン東京」に変身して戦うというものだ。前半は軽いタッチだが後半はシリアス要素が強くなっていく。

作品中ではLDのライバル規格として消えていったVHDプレーヤーやタイレルの6輪F1マシンなどおたく心をくすぐるメカが登場。もしこの作品が現在に作られていたらVHDの代わりにHD DVDが出てきたかもしれない。

モルダイバーは現在も活動を続ける人気声優野上ゆかなのデビュー作でもある。当時女子高生だった彼女は学業と仕事を完璧に両立させ作品を完成させた。本人は後のインタビューで演技をうまくこなせなかったと語っているが、寛役の実力派森川智之やマシンガル教授役の超大御所八奈見乗児という錚々たるメンバーに混じって堂々とした演技を披露している。この後彼女は人気作ウエディングピーチの主役に抜擢され大ブレイクを果たすのであった。

1993年といえばTVアニメはドラゴンボールとセーラムーンのシリーズが大好評、フジテレビの日曜夜の世界名作劇場もずっと続いていた時代。あれから23年。TVやアニメを取り巻く状況はずいぶん変わった。OVAもLDやVHSが消えDVDに変わり、それも消えてBDになった。そして僕達はみんな年をとった。