OVAとLDがアニメのクオリティを上げた!





アニメというものは戦前からあった。もちろん最初は映画だけだった。大正時代にはすでに国産劇場用アニメーションが公開されている。戦時中は軍部の宣伝や戦意高揚の目的で「桃太郎シリーズ」などの劇場用アニメが作られた。これはスカパー!でも放送されたので見た人もいるかもしれない。大昔から日本はアニメ先進国だったのだ。もっとも当時のアメリカにはかなわない。なにしろ日本がモノクロだった時代にアメリカではすでにカラーでアニメを制作していたのだから。

戦争が終わり、やがてテレビ放送が始まるとアニメも放映されるようになる。一般的には1963年の「鉄腕アトム」が最初のテレビアニメとして知られているのだが実はそれ以前の1950年代から番組内のコーナーの一つとして短編アニメーションが多数放送されており我が国における最初のTVアニメ作品のタイトルは現在では特定困難になっている。

こうしてアニメには「劇場用アニメーション」「テレビ放映用アニメーション」という2つの供給形態ができあがった。

その状態はしばらく続くのだが1980年代になると第3の供給形態ができあがる。

それが「オリジナル・ビデオ・アニメーション」略してOVAだ。これは劇場公開やテレビ放送のどちらも行わずビデオソフトで売り出すことのみを前提として制作されたアニメーションだ。

1980年代は家庭内で急速にビデオデッキが普及した時代。当初はビデオテープを使った録画機だけだったが、やがてレーザーディスクプレーヤーも発売された。若い人はレーザーディスク(略してLD)を知らないと思うがDVDを巨大にしたものと思ってほしい。レーザーディスクプレーヤーはサイズが大きく(LPレコードとほぼ同じ)再生のみで録画ができず不便なので一般の普及率は低かったがアニメファンの間では異常に普及率が高かったと言われる。良質のOVAが続々とLDで発売されたのもアニメファンの間でLDの普及率が高まった理由だろう。

電気店や店頭でLDプレーヤーのデモ映像が流れていることがあり、その映像がアニメだった場合は足を止めてじっくりと見入ったものだ。ビデオテープの映像を見ていると必ず入るノイズがないのがすごいと思った。アナログ時代の地上波放送とスカパー!の映像との差といえばわかりやすいだろう。しかもディスクは半永久的でテープのように再生を繰り返すことでノイズが増えてくることもない。LDの画質の良さに負けじと丁寧な作画を心がけた作品が続々登場。テレビアニメに比べると制作ペースにかなり余裕があったのも原因だろう。OVAは年に一話程度しか制作されない作品も多かったから。OVA全盛期の90年代まで間違いなくOVAはTVアニメよりも一段上のクオリティだった。

残念ながら僕はLDプレーヤーを持っていなかった。僕のまわりでも誰も持っていなかった。機械が高価すぎたのだ。手元に1984年の古いFMレコパルがある。当時一番安いシャープのVP-1000で定価198000円!

うちの親にそんなの買えるわけないし、もし金があったとしても先にテレビを買い換えたと思う。だが他のAV機器同様LDプレーヤーも時代が進むにつれて徐々に値段が下がってくる。たしかLD最終期にはソニーから6万円台の製品が出たはずだ。そこまで行ってもやはり一般家庭でのLDの普及率はたいしたことはなく、一部の映画マニアやアニメファンだけのものだったのだ。

やがてDVDが登場するとLDの歴史は突如終焉を迎えるのだった。